morikita.com

岡本梅花見図(おかもとうめのはなみのづ)

平成29年2月26日だそうである

(上の画像は梅まつり実行委員会HPより無断拝借)

(↑ 岡本梅林園内の案内板)
岡本梅林公園の案内板や実行委員会作成の案内画像に、江戸時代の岡本梅林の様子で「摂津名所図会」よりと書かれてあるので、興味が湧いたので調べてみました。

摂津名所図会(せっつめいしょずえ)は摂津の国、十二郡に亘る名勝古跡を絵と文で紹介した地誌である。
著者は秋里籬島(あきさと りとう)絵は竹原春朝斎(たけはら しゅんちょうさい)ほか数人によるものとなっている
寛政8年(1796年)に3巻4冊発行され、2年後に6巻8冊され合計9巻12冊が発行されている
詳しい話はウィキペディアなり研究文献に譲ることとして、現物内容が見たくなり、どうしたものかと調べてみた

今より約200年前に発行されたものではあるが、公立の図書館などに蔵書としてある程度置かれていることもわかった。ただ、古文書にあたるので、新書のように貸し出されている事はほとんどないようだが、図書館内で閲覧はできるようだ。

ウェブで「摂津名所図会」と検索掛け調べてみると、武庫川女子大や早稲田大学がほぼ12冊すべてを画像公開している事がわかった。他大学や公立の各機関でも画像公開されてはいるが、上の2校が全てのページを閲覧できるという点で他に大きく勝っている。
これでありがたい事に図書館に出かけなくとも、パソコンさえあれば閲覧することが出来る。実にありがたい事である、良い時代になったものだ。

以下にリンクを貼っておくので興味のある方はどうぞご覧ください

武庫川女子大学リポジトリ「摂津名所図会」

早稲田大学 古典籍データベース 「摂津名所図会」

上、ご利用にあたっては各サイト利用注意事項を良くお読みになってご利用ください

 

 

話を「岡本梅花見図」に話を戻し、「摂津名所図会」のどこで紹介されているのかとさらに調べてみた。
地誌なので「岡本」が載っているのは第7巻、摂津名所図会 武庫郡 菟原郡の巻である。

面倒なので結論から先に書くが、武庫川女子大学が公開している学術成果コレクション「摂津名所図会」には「岡本梅花見図」が載っているページはない
岡本梅花見図」が載っているのは早稲田大学古典籍データベースにある「摂津名所図会・[前,後編]」もしくは「摂津名所図会. [正,続篇]」のほうである

早稲田大学の古典籍データベースで「摂津名所図会」を検索かけると、「摂津名所図会・[前,後編]」と「摂津名所図会. [正,続篇]」がでてくる。違いは何かといえば発刊の年月のようである。最初の発行年月は最終ページに書いてあるものの、今日の様に版数や改訂履歴など書かれてはいないので、実際その本が作られた年月を割り出すのは難しい。早稲田大学が「前,後編」と [正,続篇]をどのようにして分けたのかはわからないが・・どこか違うのかな??

先日私が買った1冊、第9巻「摂津名所図会・有馬郡 能勢郡」では余白に注釈として「今文政6年・・・」の一文があることから1823年(文政6年)に刷られたものであることが推測されるが、そういった追加の一文がなければ年月を推測するのはかなり難しいと言える。
私の所有する摂津名所図会が1823年製という事は、初版が1796年(寛政8年)という事なので、実に27年もの間ほぼ初版と同じ板木で刷っていた事になる。これもまた驚きですが、江戸時代はゆっくりと時間が流れていたのだろうか・・・おもしろい
私の所有する1823年製と、初版とされる1796年製の違いは両開きの挿絵が2ページと、たまたま入っていた注釈文くらいである
またまた話を「岡本梅花見図」に戻そう。 「岡本梅花見図」が載っているのは先にも書いた通り早稲田大学のほうである。

これも面倒だろうから(禁じ手の)直リンクをはりつけておこう

「摂津名所図会・[前,後編]」  「岡本梅花見図」

「摂津名所図会. [正,続篇]」  「岡本梅花見図」  どちらも早稲田大学所蔵

どうやら「岡本梅花見図」が摂津名所図会で紹介されたのは初版(武庫川女子大学所蔵版)ではなさそうである。(あくまでも個人の意見です)

年月は分からないが、いわゆる改訂版で挿絵を差替えて印刷したようだ。

 

 

根拠は次の通りである!(これはあくまでも私の個人見解ですが、ほぼ間違ってはいないでしょう)

武庫川女子大学の蔵書と早稲田大学の蔵書「摂津名所図会・武庫郡 菟原郡」を1ページ目からじっくりと比べるとわかると思いますが・・・

1.絵だけに視点をあわせて……….見てみると、「鳴尾西瓜畑」の絵が「岡本梅花見図」に差替えられているが「武庫川」、「鳴尾西瓜畑」、「西宮」、「芦屋浦」、「打出濱」と東から順に西へと紹介されているのに、差替えることによって西に飛んでまた東に戻るという地誌にしてはちょっと編集のまずさがみられる。いかにも無理からに差替えた様に見える。逆の言い方をすれば、順番が狂ってでも、どうしても「岡本梅花見図」を紹介したかったようである。

2.見開きページの中央、のどの部分下側に四角枠で板木師の名前が書かれているが、武庫川女子大学の蔵書は見てとれる所は全て「イサハ」に対し、早稲田大学の蔵書は「岡本梅花見図」のページのみ「ニハ庄」となっている。

以上の事から、いわゆる改訂版にて「岡本梅花見図」が摂津名所図会に載ったようである。

 

なお、摂津名所図会は単色刷りなので、摂津岡本梅まつりで使われている様なカラー刷りではありません。現代の誰かが見開きページを貼り合わせ色づけしたものと思われます。

原画を改変した場合はそのことを書くべきだと思いますが・・・

 

以上

この件に関しご意見、ご感想はメール、もしくはコメントよりお願いいたします

モバイルバージョンを終了